目の前を二人が歩いていた。
若い男と女の二人連れだった。
仲良く話に華を咲かせながら歩いていた。
女は腕に何かを抱えている。
腕の影に見え隠れする茶色の頭髪。
僕は女が腕に赤ん坊を抱いているのだろうと思う。
微かな違和感が胸を掠める。
目を逸らす。
途端にあがる女の嬌声。
飛び跳ねて男の肩を叩いている。
僕はなんとも言えない気持ちの悪さを覚える。
女の腕の中にある茶色い頭髪が女が飛び跳ねる度に揺れる。
大きく上下に揺れる。
赤ん坊は女と同じようにその腕の中で嬌声をあげているのだろうか。
それとも・・・
立ち止まって戯れている男女を僕の足が追い越す。
視線を二人に向けたとわからぬように覗き見る。
赤ん坊には首がなかった。
否。
それは人形の首だ。
僕が僕にそう囁く。
女は美容師なのだろう。
マネキンの頭を家に持ち帰り、カットの練習をするのだろう。
だからあれは人形の首なのだ。
飛び跳ねていた女がバランスを崩し、よろける。
人形の首が転がり落ちる。
僕の足元に転がり落ちる。
人形の瞳が僕を捉えた。
虚ろな眼だ。
口元に浮かぶ微かな微笑。
そのアンバランスさに吐き気を覚える・・・・・
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光が強ければ強いほど
輪郭が浮かび上がることがある
けれども、影が生じることも忘れてはならない
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見えないものが見える瞬間
それはとても間接的だけれども
確かに見えるときがある
たとえば、風
たとえば、心
ゆうべ夜半過ぎより降り始めた雨は未だ止む気配を見せない。
時折風に煽られた雨粒がガラス窓に打ち付けられ、バタバタと騒がしい音を立てる。
全ての音は雨音にかき消され、騒がしい静寂が私を取り囲む。
雨に濡れた窓の外に映る滲んだ街灯。
まるで、モノクロの写真のように時を失った夜の町。
雨だけが時の移ろいを僅かばかりに知らせている。
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二人の時間を重ねてゆくことは
簡単な事ではないのかもしれないけれど
それでもずっと
あなたの傍で生きていたい
ただの我侭かもしれないけれど
それが純粋無垢で唯一の願い
小さくそう囁く君の
微笑を称えたその頬に
流れる一筋の涙
恋人の我侭くらい聞けないでどうするよ?
それくらいの甲斐性は
俺だってあるつもりだぜ?
抱き寄せ 涙を唇で受け取ると
君の安堵の吐息が
優しく俺の耳を打つ
それが君の望みであるならば
俺はきっと叶えられるから
繋いだ手の温もりすら
こんなにも愛おしい
世界で一番大切な…
決して離れる事のない代わりに
決して触れ合ってはならない
月と地球が、そうであるように
惹かれ合い、片割れがいなければ個体として存在する事すら出来なくとも
触れてしまった瞬間に、存在そのものが破壊されてしまう
永遠のループ
彼女は地球の子供
惑う星の子供
全ての祝福を受けながら、それを剥奪されてしまった惑いの星の
慈しむ心を持ちながら、愛される事に貪欲な星の
内在する罪の穢れを、封じ込めて彩られている
彼女はそんな、地球の子供
そして、俺は
―― 月の罪人
雨と擦れ違った光が 時計に倒れる
揺すり合う木々が 時を抱きしめる
誰が呼んでも 誰にも届きはしない風景
朝の音が 背伸びをする
静かな営みを 悪戯が突き 広まりゆく…
風が雨に逃げて
雨が空に逃げて
この窓へと戯れ折れていくさまで 不動たる冷たさと堅さが示される
君が傘を持っている
この空虚と化した夜明けの片隅で 言葉を失くし 何かを探しあぐねてる
その傘は 心の映し身なのか…
雨なのに
君は太陽を見つめている
まるで 水の色と火の色が 重なり合った姿のように
影ばかりの人の嘘が 光りだしてきた…
壊してしまった あなたとの Friendship
もう 元には戻れない
そのことだけが 哀しくて
Maze in the heart 彷徨ったけど
Exit from the maze 巡り逢ったのは
いつもと変わらない あなたの笑顔
If you would give me one more chance,
I'm longing to be with you, all over again
過ぎ行く流れに 全てを任せて
そっとこのまま All over again
気まぐれな流れに 全てを任せて
激しくも優しく
切なくも暖かく
初春の雨が静かに身体に浸透していく
かき抱いても零れ落ち
渇きだけが残る心を癒すように
静粛な雨の造りの奥深くに
薫(くゆ)る この想い
静けさ纏い ただ流れてく
くちづけて 愛しい人
きっと泣き止むから
抱きしめて その腕で
明日にはもっと強くなれるから
私の喉に流れる吐息を
どうかそっと飲み込んで
私の心を掴んで離さないでいて
寒い。凍える様に寒い。
吐く息は白く、いつしか体が小刻みに震えていた。
わたしは、いつまでここに立っているんだろう。
ふと、そう思う。
部屋に帰れば、いくらか寒さも凌げるというのに。
身を竦ませる風に、体温を奪われることもないというのに。
でも……しかし……。
あの部屋に帰る気にはならない。
誰も居ない、あの部屋に帰ることが嫌なのか。
それとも、あの部屋で待ち受ける未来が怖いのか。
いや、違う。
あそこには、何か良くない、わたしの想いがわだかまっている。
あの部屋に戻った途端、わたしは数時間前のあの嫌な想いに支配されしまう。
そんな気がする。
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